1〜3章 ↑


 

4章

 

1      そして、イエスは湖のほとりでふたたび教え始めた。ものすごい数の群集がイエスのもとに集まってきていたので、イエスは舟に乗りこみ、湖で腰をおろした。全群衆は、湖のほとりの陸地にいた。

 

2      イエスはたとえで、彼らに多くのことを教え、その教えの中でこう言った。

3      「よく聞くんだ。
見よ。ある種をまく人が、種まきに出かけた。

4      彼がまいたら、こういうことがあった。
ある種が道ばたに落ちた。すると、空の鳥たちが来てそれをむさぼってしまった。

5      また、ある種は石だらけの土地に落ちた。土壌があまりないので、すぐに芽を出した。それは、土壌の深さがないせいだ。

6      しかし日が昇ると、干乾びてしまった。根がないから、枯れてはててしまったんだ。

7      ある種はいばらの間に落ちた。すると、いばらが伸びて、それをふさいでしまった。そうして、1つも実を結ばなかった。

8      また、ある種は良い土地に落ち、そして実を結んだ。つまり、芽を出し、繁殖し、ある種は30倍、ある種は60倍、またある種は100倍の実をもたらしたんだ。」

9      そして、彼らに言った。
「聞く耳があるなら、聞いていなさい。」
(
*直訳:聞く耳のある者は聞きなさい。欧米の言語ではそういう言い回しになる。)

 

10  イエスがひとりだったとき、周りにいる人たちは十二弟子と一緒に、そのたとえのことを尋ねた。

11  そこで、イエスは彼らに言った。
「きみたちには、神の国のなぞを知る力が与えられているが、外部の人たちにはそうではない。だから、これらすべてがたとえになっているんだ。

12  それは、彼らは見るものを見ても気がつかないし、聞くことを聞いても理解しないせいだ。どんな時も、彼らが改心し、罪が赦されることがないようになってるんだ。」(イザヤ6:9-10)

13  そして彼らにこう言った。
「きみたちは、このたとえがわからないのか?
そんなことで、きみたちはどうやって(他の)すべてのたとえを理解しようというんだ?

 

14  種をまく人は、みことばをまくんだ。

15  「道ばた」にみことばがまかれるとは、こういう人たちのことだ。
みことばを聞いたとき、すぐさまサタンが来て、心にまかれたみことばを奪ってしまう人たちのことだ。

16  「石だらけの土地」にまかれるとは、こういう人たちのことだ。
みことばを聞くと、すぐさま喜んで受け入れるけれど、

17  自分の中に根がないから、ただ一時我慢するだけなんだ。その後で、みことばのために苦悩したり、ひどい扱いを受けたりすると、すぐに彼らはいじけてしまうんだ。

18  「いばらの中」にまかれるとは、こういう人たちのことだ。
みことばを聞いても、

19  この世の心配事や富の惑わし、その他いろいろな欲が入り込んで、みことばをふさぐから、実を結ばなくなるんだ。

20  「良い土地」にまかれるとは、みことばを聞いて受け取る人のことだ。
ある者は30倍、ある者は60倍、またある者は100倍の実を結ぶんだ。」

 

21  またイエスは彼らに言った。
「ともし火を持って来るのは、おけの下やベッドの下に置くためだろうか?
ろうそく台の上に置くためじゃないか?

22  なぜなら、隠されていることで、あとで明らかにされないことは何もないし、秘密になっていることで、あとで表ざたにならないものは何もないからだ。

23  聞く耳があるなら、聞いていなさい。

 

24  また、彼らに言った。
聞いていることに、よく関心をもちなさい。
きみたちが(関心を)割り当てた分だけが、(成長する分として)きみたちへと割り当てられる。
つまり、聞く人は、もっと与えられるということだ。

25  だから、すでにある人にはもっと与えられるし、ない人からはあるものさえも取りあげられてしまうということなんだ。

 

26  そして、言った。
「だから、神の王国は、このようなものだ。
ある人が地面へ種をばらまき、

27  夜や昼を(毎日を)寝たり起きたりして過ごしていると、その種は芽を出し、成長する。
どうやってなのか、彼にはわからない。

28  なぜなら、大地はひとりでに実をならせるからだ。(大地=アース)
まずは葉、次に穂、そのあとで穂の中に実がいっぱいになる。

29  だが実ったら、彼はただちにかまを入れる。収穫の時が来たからだ。」

 

30  また言った。
「神の王国を、何と比べられるだろうか?何にたとえようか?

31  それは一粒のからし種のようなものだ。
大地にまかれたときには、大地にあるどの種よりも小さい。(大地=アース)

32  だが、それがまかれると、生長してどんな野菜よりも立派になり、見ごとな枝を出し、空の鳥がその陰に巣くうほどになるんだ。」

 

33  イエスは、そのように多くのたとえで、彼らの聞く能力に応じて、みことばを話した。

34  だが、たとえによらずに話すことはなかった。そして彼らだけのときに、弟子たちにすべてのことを解説した。

 

35  さて、その日、夕方になると、イエスは弟子たちに、「向こう岸へ渡ろう」と言った。

36  弟子たちは群集を送り返し、ちょうどイエスが舟に乗っているときに連れて行った。そして他の小舟もイエスと一緒だった。

37  するとそこに、とてつもない暴風が発生し、船の中に波が次々たたき込んだため、船が水でいっぱいになった。

38  イエスは船のうしろの方にいて、枕して眠っていた。弟子たちはイエスを起こして言った。
「先生(マスター)。私たちが死にそうなのに、あなたは心配していないのですか?」

39  イエスは起き上がって、風をしかりつけ、湖に言った。
おだやかに。落ち着きなさい。
すると風はやみ、ものすごい静けさがあった。

40  イエスは彼らに言った。
「きみたちは、どうしてそんなに恐れている?どうして信じていないんだ?」

41  彼らはすさまじく恐ろしくなり、互いに言った。
「いったい、なんという方だ。風や湖さえ、彼に従うなんて。」