最も権威高い聖書であるKJV英語聖書から
公名牧師が翻訳しています



第1章


1 ぼくたちのあいだで、たしかなことだとわかっているできごとを、たくさんの人たちが、発表しようとしているんだ。
2 そのできごとを、はじめから見ていた人たちや、みことばに仕えている人たちが、そのままを、ぼくたちに伝えてくれた。
3 ぼくは、かなり前から、それらのできごとをぜんぶ完ぺきに調べていたんだ。
最高の友テオピロくん、だから、ぼくがきみのために、順番どおりに書いてあげたらいいだろうなって思ったんだよ。
4 そうすれば、きみがすでに教えてもらったそういうできごとが、たしかなことなんだって、きみもわかってくれるんじゃないかな。

5 ユダヤの王さまがヘロデだったとき、アビヤ組にザカリヤっていう祭司がいたんだ。
彼の奥さんはアロンの子孫で、名前はエリサベツ。
6 ふたりとも、神さまの前で正しく、悪いところがなく、主の命令ときまりをぜんぶ行なっていた。
7 エリサベツは子どもができない人だったから、ふたりには子どもがいなくて、ふたりとも、もう年をとってしまっていた。
8 ザカリヤは、自分が当番になって、神さまの前で祭司のしごとをしていたとき、こんなことがあった。
9 祭司のしごとのならわしで、くじを引いたら、ザカリヤが主の神殿に入ってお香をたくことになったんだ。
10 大ぜいのみんなが、お香をたく間、そとで祈っていた。
11 すると、主のみ使いがザカリヤのところにあらわれて、さいだんの右がわに立った。
12 それを見たザカリヤはこんらんして、おそろしくなった。
13 み使いはザカリヤに言った。
「こわがらなくていいよ、ザカリヤ。あなたの祈りは聞かれたんだ。
あなたの妻エリサベツは、あなたに男の子を産むことになっているよ。
あなたは、その子の名まえをヨハネとつけるんだ。
14 あなたはよろこび、うれしくなり、たくさんの人が、そのたん生をよろこぶはずだよ。
15 その子は、主の目の前で、りっぱな人物になるからね。
彼は、ぶどう酒も、きついお酒も飲まないし、まだお母さんのおなかの中にいるときから聖霊さまに満たされ、
16 イスラエルのたくさんの子どもたちを、自分たちの神さま、主のほうへむかせるんだ。
17 彼は、エリヤの霊と力で、主の前をすすむだろう。
そして、お父さんの心を子どもにむけさせたり、反こう的な人を正義のかしこい人に変えたりして、
人びとに、主をむかえる用意をさせるだろう。」
18 そこで、ザカリヤは、み使いに言った。
「私は、どうやって、それがわかるでしょうか? 私は年よりですし、妻も年をとっています。」
19 み使いはザカリヤにこう答えた。
「私は、ガブリエル。神さまの目の前に立っているでしょう?
あなたに話をして、このうれしい知らせを伝えるように送られたんだよ。
20 ほら見なさい。これらのことが起きるその日まで、あなたは、口がとじ、しゃべれなくなった。
私のことばを信じなかったからだ。私のことばは、その時になったら、かなう。」
21 人びとはザカリヤを待っていて、あまりに長いこと神殿の中いるから、おどろいていた。
22 ザカリヤが出てくると、しゃべることができなかった。
だから、「ザカリヤは神殿でまぼろしを見たんだろう」と彼らは思った。
ザカリヤが、彼らに合図はするけど、しゃべれなかったからだ。
23 やがて、仕える期間が終わって、ザカリヤは自分の家へ帰った。
24 そのご、妻エリサベツは、子どもができ、5か月間、自分をかくして、こう言った。
25 「主は、ずっと私を見ていたから、人びとの中の、私のはじを取ってくれた。」

26 ところで、その6か月目に、み使いガブリエルが神さまから送られて、ガリラヤのナザレという町の、ひとりのおとめのところへ来た。
27 このおとめは、ダビデの家けいのヨセフという人とけっこんすることになっていて、名まえをマリヤといった。
28 み使いは、入って来ると、マリヤに言った。
「おめでとう、きみはとっても愛されている。主があなたといっしょにいる。
だから、きみは女性たちの中で恵まれているんだ」
29 それを見たマリヤは、そのことばに、とまどって、「これはどんなあいさつかしら?」と考えこんだ。
30 すると、み使いは言った。
「こわがることはないよ、マリヤ。きみは、神さまから愛されているんだよ。
31 さあ!きみは、おなかに子どもができて、男の子を産むだろう。その名まえをイエスとつけるんだ。
32 その子は、りっぱな人なり、いちばんえらいおかたの子と呼ばれる。
そして、主なる神さまは、彼に、その父ダビデの王位を与える。
33 彼は、えいえんにヤコブの家をおさめ、その王国は終わることがないだろう。」
34 すると、マリヤはみ使いに言った。
「どうしたらそんなことになるんでしょう? 私は男の人とお付き合いをしたことがないのに。」
35 み使いは、こう彼女に答えた。
「聖霊さまが、きみの上に来て、いちばんえらいおかたの力が、きみをおおうだろう。
だから、あなたに産まれる聖なるおかたは、神の子と呼ばれる。
36 ほら!きみの親せきのエリサベツも、年よりになっているのに男の子ができている。
子どもができない人といわれていたのに、今はもう6か月だ。
37 神さまにとって、できないことなんか、なんにもないのさ。」
38 マリヤは言った。
「はい!私は主の、ひくき女です。あなたのおことばどおりのことが、私に、なりますように。」
すると、み使いは、マリヤのところからいなくなった。

39 そのころ、マリヤは大いそぎで、山地にあるユダの町へ出かけていった。
40 そして、ザカリヤの家に行って、エリサベツにあいさつをした。
41 エリサベツがマリヤのあいさつを聞くと、子どもがおなかの中でおどって、エリサベツは聖霊さまに満たされた。
42 すると、大きな声でこう言った。
「あなたは、女性たちの中で恵まれているわ!あなたのおなかの実(子ども)も恵まれているわ!
43 私の主のお母さんが私のところに来るなんて!こんな(いい)ことがどこからやってきたのかしら。
44 見て!あなたのあいさつの声が私の耳にはいったとき、私のおなかの中で、子どもがよろこんで、おどったの!
45 『主に告げられたことは、そのとおりになる』と信じている人は、なんて恵まれているのかしら!」
46 マリヤは言った。
「私のたましいは、主をほめたたえ、
47 私の霊は、私の救い主なる神さまをさんびします。
48 主は、このひくき女のひくい身分を、気にかけてくださったもの。
きっと、これからのどんな時代の人たちも、私のことを恵まれた人だって言うわ。
49 力強い主が、私にすばらしいことをしてくださったもの。そのお名まえは、『聖なる』。
50 そのあわれみは、せんぞだいだい、主をおそれている人たちの上にある。
51 主は、そのうでで、力を見せつける。
そうして、心の中でいばっている人たちを追いはらったり、
52 けんりょく者たちをその身分から下ろして、ひくい身分の人たちを高く上げたり、
53 うえている人たちを良いもので満ちあふれさせて、お金持ちたちは何も持たせずに追いかえしたりする。
54 そうやって、主はそのあわれみを忘れることなく、そのしもべイスラエルをお助けになってきた。
55 私たちのせんぞのアブラハムとその子孫たちに、いつも主が語ってきたことは、ほんとうに、そのとおりだわ!」
56 マリヤは3か月くらいエリサベツとくらし、自分の家に帰った。

57 さて、いよいよエリサベツは産むときが来て、男の子を産んだ。
58 近所の人たちや親せきたちは、主がエリサベツに大きなあわれみをおかけになったと聞いて、彼女といっしょによろこんだ。
59 子どもに割礼をする8日目になって、お父さんの名まえにちなんで、人びとは子どもをザカリヤと名づけようとした。
60 すると、お母さんは答えて、
「いや、そうじゃなくて、ヨハネという名まえをつけないといけないわ。」と言った。
61 彼らは彼女に、「あなたの親せきには、そんな名まえの人はひとりもいないよ。」と言った。
62 それで、お父さんに合図して、どう名づけるのか聞いた。
63 すると、お父さんは書く板を持って来させて、「彼の名まえはヨハネ。」と書いた。
それで、人びとは、みんなびっくりした。
64 すると、たちまち、彼の口がひらいて、舌がゆるみ、しゃべれるようになって、神さまをほめたたえた。
65 それで、近所の中の人たちは心配になった。
そして、ユダヤの山地のすみからすみまで、こうしたことぜんぶが、うわさになった。
66 聞いた人たちはみんな、それを心におぼえて、「いったいこの子はどんな子になるだろう?」と言った。主のみ手が、彼とともにあった。

67 お父さんのザカリヤは、聖霊さまに満たされて、こう預言した。
68 「イスラエルの神さまである主をあがめよう。
主は、自分の民を思いやり、人びとの罪をかばっててくれているんだから。
69 私たちのために、そのしもべダビデの家の、救いの角を立ててくれているんだ。
70 この世界のはじめから、主の聖なる預言者たちの口によって、主が話していたとおりだ。
71 それは、私たちが敵から救われるってこと。私たちをきらう人たちみんなから、救われるんだ!
72 私たちの先ぞたちに、約束してくれた、そのあわれみを、いま行なってくれるんだ!
その聖なる契約をおぼえててくれたんだ!
73 その契約は、主が、私たちの父アブラハムに、ちかったちかい。
74 『主が、私たちを敵の手から救い出し、
75 私たちが生きているあいだずっと、きよく、正しく、おそれなく、主の前で仕えさせてくれる』
というちかい。
76 わが子よ。きみは、いちばんえらいおかたの預言者と呼ばれるだろう。
きみは、主の目の前を行き、主の道をじゅんびするからだ。
77 そうして、罪のゆるしによって、主の民に、救いの知識を与えるだろう。
78 それって、私たちの神さまのやさしいあわれみだ。
そのあわれみによって、日の光が、高いところから、私たちにやってくる。
79 そうして、暗やみと死のかげにおびえている人たちを照らし、私たちの足を平和の道に、みちびくだろう。」
80 そして、その子は成長し、霊がたくましくなり、イスラエル人たちの前にあらわれる日まで、荒野にいた。


第2章

1 そのころ、「せかい中で住民登録をしなさい」という命令が、アウグスト皇帝から出た。
2 これは、クレニオがシリヤ長官だったときの、はじめての住民登録だった。
3 だから、みんな、登録するために、それぞれ自分の町にむかって行った。
4 ヨセフも、ダビデの家けいで血すじだったから、ガリラヤのナザレ町から出て、ユダヤのベツレヘムっていうダビデの町へむかった。
5 けっこんすることになっている妻マリヤもいっしょに登録するようにするためだった。
マリヤは、赤ちゃんでおなかが大きくなっていた。
6 すると、ふたりがベツレヘムにいる間に、マリヤは子どもを産むときが来た。
7 そして、マリヤははじめての子ども、男の子を産んだ。
それで、布にくるんで、飼い葉おけに、ねかせた。宿屋には、彼らがとまる部屋がなかったからだ。

8 さて、そのあたりには、夜中に、野はらで羊のむれを見まもっている羊かいたちがいた。
9 すると、なんと!主の使いが彼らの上に来て、主の栄光が、羊かいたちのまわりでかがやいた。
それで、羊かいたちは、とってもこわくなった。
10 み使いは、羊かいたちに言った。
「こわがることはないよ。
さあ!いま私は、すべての人にとって、とってもうれしい、いい知らせを持ってきたんだ。
11 きみたちのために、きょうダビデの町で救い主がお生まれになった。それが、主キリストさまだ。
12 きみたちは、布にくるまって、飼い葉おけにねている赤ちゃんを見つけるはずだよ。
それが、きみたちへのしょうこさ。」
13 すると、とつぜん、そのみ使いといっしょに、天の大ぐんぜいがあらわれ、こう言って、神さまをほめたたえた。
14 「いちばん高いところにいる神さまには、栄光がありますように。
地上の人びとには、平安と、よい心がけがありますように。」

15 み使いたちが羊かいたちから去って、天に帰っていくと、羊かいたちは、おたがい、こう言いあった。
「さあ、ベツレヘムに行って、おきることになるできごとを見てこようよ!
主が、ぼくたちに知らせてくれたんだから!」
16 そして、大いそぎで行って、マリヤとヨセフと、飼い葉おけでねている赤ちゃんを見つけた。
17 それを見たとき、羊かいたちは、この赤ちゃんについて言われたことを、そとで告げ知らせた。
18 それを聞いた人たちはみんな、羊かいの話したことにおどろいた。
19 しかしマリヤは、それらのことをぜんぶ心におぼえて、じっくり考えた。
20 羊かいたちは、見聞きしたことが、そのとおりだったので、神さまをあがめ、ほめたたえながら帰っていった。
21 赤ちゃんに割礼をする8日目になって、赤ちゃんは「イエス」という名まえで呼ばれることになった。それは、おなかの中にいる前から、み使いがつけた名まえだった。

22 さて、モーセの律法どおりの、マリヤのきよめの期間がすぎたとき、ふたりは、その子を主にささげるために、エルサレムへ連れて行った。
23 主の律法にはこう書いてあった。
「母のおなかをひらいたはじめての男の子はみんな、主に聖別された者、と呼ばれる。」
24 そして、「ペアの山ばと、または、家ばとのひな二羽。」と主の律法が言っているとおりに、いけにえをささげるためでもあった。
25 さて、エルサレムにはシメオンという人がいた。
この人は正しく、信仰深い人で、イスラエルが、なぐさめられることを待ちわびていた。
聖霊さまが、シメオンの上にいた。
26 そして、「主のキリストを見るまでは、死ぬような目にはあわない」と、聖霊さまのお告げをうけていた。
27 シメオンが霊にみちびかれ、神殿に入ると、赤ちゃんイエスさまを連れた親たちが、子どものために、律法をおこなうために、入ってきたところだった。
28 シメオンは赤ちゃんをうでにだき、神さまをほめたたえて言った。
29 「主よ。ようやく、あなたは、みことばどおり、あなたのしもべを、安心して去らせてくださる。
30 私の目で、あなたの救いを見たのだから。
31 その救いを、すべての人たちの目の前に、あなたが用意してくれた。
32 外国人をてらしだす光。あなたの民イスラエルの栄光だ。」
33 ヨセフと母は、シメオンが話すことを聞いて、おどろいた。
34 シメオンは彼らを祝福し、お母さんのマリヤに言った。
「見てごらん。この子は、イスラエルのたくさんの人がダメになって、もういちどよみがえるために用意されている。それは、反対されちゃうっていうしるしなんだ。
35 きみの心(たましい)にも、剣がさしぬかれるはずだ。
だって、たくさんの人たちの思っていることがバレちゃうんだからね。」
36 また、アセル族のパヌエルの娘で女預言者のアンナという人がいた。
この人はとても年をとっていた。
けっこんしてから、夫といっしょに7年間はくらしたけれど、
37 夫を亡くしてから、84年間をすごしていた。
そうして、神殿からはなれることなく、夜でも昼でも、断食したり、祈ったりしながら、神さまに仕えていた。
38 ちょうどそのとき、アンナもそこにいて、主に感謝しながら、エルサレムがかばわれるのを待ちのぞむすべての人たちに、この子のことを話した。
39 ふたり(ヨセフとマリヤ)は、主の律法に書いてあることを、ぜんぶやったので、ガリラヤにある自分たちの町ナザレに帰った。
40 その子(イエスさま)は成長し、霊がたくましくなり、知恵に満たされた。
神さまの恵みが、その上にあった。

41 イエスさまの家族は、すぎこしの祭りのときには、毎年エルサレムに行った。
42 イエスさまが12才になったとき、祭りのふうしゅうどおりに、エルサレムへ行った。
43 そして、祭りの日々が終わると、帰っていった。
ところが、その子イエスさまはエルサレムにのこっていた。
ヨセフとお母さんはそれに気づかなかった。
44 イエスさまがいっしょにいると思って、1日の道のりを行ってしまっていた。
それから、親せきや知り合いの中を探した。
45 イエスさまが見つからなかったので、イエスさまをさがしながら、エルサレムまでもどった。
46 そして3日後に、イエスさまが神殿にいるのを見つけた。
イエスさまは、学者たちのまん中にすわって、話を聞いたり、質問したりしていた。
47 イエスさまの話を聞いていた人たちはみんな、イエスさまの理解力と答えにおどろいていた。
48 親たちはイエスさまを見てびっくりした。すると、お母さんがイエスさまに言った。
「まあ、どうしてあなたは、私たちをこんなことしたの!
見てごらん。お父さんも私も、悲しみながら、あなたを探しまわっていたのよ!」
49 イエスさまは、親たちに言った。
「どうしてわたしを探したのですか?わたしが、父のしごとをしているのを、知らないんですか?」
50 ところが、親たちは、イエスさまが話したことばが、よくわからなかった。
51 それからイエスさまは、いっしょにナザレに帰って行った。そして、親たちにしたがった。
お母さんは言われたことばをぜんぶ、心におぼえておいた。
52 イエスさまは、ますます知恵が増し、りっぱに育ち、神さまと人びとに愛されていった。


第3章

1 テベリオ皇帝が治めるようになって15年目。
ポンテオ・ピラトがユダヤの総督、ヘロデがガリラヤの領主、ヘロデの兄弟ピリポがイツリヤとテラコニテ地方の領主、ルサニヤがアビレネの領主、
2 アンナスとカヤパが大祭司だった。
そのころ、荒野にいる、ザカリヤの子(バプテスマの)ヨハネに、神さまのお告げがあった。
3 そこで、(バプテスマの)ヨハネは、ヨルダン川のほとりにあるぜんぶの地方に行って、罪が赦されるための悔い改めのバプテスマを呼びかけた。
4 それは、預言者イザヤのことばの書に、こう書いてあるとおりだった。
「荒野でさけぶ人の声。
『主の道を用意し、主が通る道をまっすぐにしなさい。
5 すべての谷はふさがれ、すべての山と丘は低く、
ゆがんだ所はまっすぐに、荒い道はなめらかになる。
6 そうやって、だれもが、神さまの救いを見るだろう。』」
7 そこで、ヨハネは、ヨハネのバプテスマを受けようとやって来た、大ぜいの人たちに、こう言った。
「毒ヘビどもたちめ!だれが、うけるはずの怒りから逃げるように、忠告したっていうんだい?
8 それなら、悔い改めにふさわしい実をつけなよ!
『私たちの先祖はアブラハムだから』なんて頭の中で言ってちゃいけないよ!
言っておくけど、神さまは、こういう石ころからでも、アブラハムの子孫をおこせるんだからね。
9 オノだって、もう木の根元においてあるんだ。
だから、良い実をつけない木は、ぜんぶ切りたおされて、火になげこまれちゃうんだよ。」
10 人びとはこう言って、ヨハネにたずねた。
「じゃあ、私たちはどうしたらいいの?」
11 ヨハネは答えて言った。
「コートを2まい持ってたら、持ってない人にあげなよ。
食べものを持ってる人も、おなじようにしたらいい。」
12 ぜいきん取り人たちも、バプテスマを受けに来て、言った。
「先生。ぼくたちはどうしたらいい?」
13 ヨハネは彼らに言った。
「決められているものよりも、たくさん取っちゃダメだよ。」
14 兵士たちも、おなじように、ヨハネにたずねた。
「ぼくたちはどうしたらいい?」
ヨハネは彼らに言った。
「だれにも、暴力はいけないよ。あと、ウソついて、人をせめちゃいけないね。
自分の給料でまんぞくするってことさ。」
15 人びとは、きたいしていたから、みんな心の中で、ヨハネのことを、
「ひょっとしたら、この人がキリストなのかも?」と考えていた。
16 それで、ヨハネはみんなにこう答えた。
「ぼくは、たしかに、きみたちに、水でバプテスマをさずけているよ。
でもね、ぼくよりも、すごいおかたが来るんだ。
ぼくなんかでは、そのかたの、くつをぬがせてあげるにも、ふさわしくないくらいさ。
そのかたは、きみたちに、聖霊さまと火とのバプテスマを、さずけるはずだよ。
17 そして、手にちりとりを持って、床を完全にきれいにする(きよめる)。
そうやって、麦はそうこに集めて、もみがらは消えない火で焼くんだ。」
18 ヨハネは、そのほかにもたくさんのことを、人びとに呼びかけて、教えた。

19 ところが、領主のヘロデは、自分の兄弟ピリピの奥さんヘロデヤのことや、自分がした悪いことぜんぶを、ヨハネにしかられたから、
20 ヨハネをろうやに閉じこめて、さらに悪いことを1つ増やしてしまった。

21 さて、人びとみんなが、バプテスマを受けていたころ、こんなことがあった。
そのころ、イエスさまもバプテスマを受けながら、祈っていると、天がひらいて、
22 聖霊さまが、ハトのようなかたちをして、イエスさまの上におりてきた。
そして、天からこういう声がした。
「あなたは、わたしの愛する子。わたしは、あなたをとてもよろこんでいるよ。」
23 イエスさまは、30才になるころだった。
イエスさまは、ヨセフの子どもだと思われていた。このヨセフは、ヘリの子、
24 マタテの子、レビの子、メルキの子、ヤンナイの子、ヨセフの子、
25 マタテヤの子、アモスの子、ナホムの子、エスリの子、ナンガイの子、
26 マハテの子、マタテヤの子、シメイの子、ヨセクの子、ヨダの子、
27 ヨハナンの子、レサの子、ゾロバベルの子、サラテルの子、ネリの子、
28 メルキの子、アデイの子、コサムの子、エルマダムの子、エルの子、
29 ヨシュアの子、エリエゼルの子、ヨリムの子、マタテの子、レビの子、
30 シメオンの子、ユダの子、ヨセフの子、ヨナムの子、エリヤキムの子、
31 メレヤの子、メナの子、マタタの子、ナタンの子、ダビデの子、
32 エッサイの子、オベデの子、ボアズの子、サラの子、ナアソンの子、
33 アミナダブの子、アラムの子、エスロンの子、パレスの子、ユダの子、
34 ヤコブの子、イサクの子、アブラハムの子、テラの子、ナホルの子、
35 セルグの子、レウの子、ペレグの子、エベルの子、サラの子、
36 アルパクサデの子、セムの子、ノアの子、ラメクの子、
37 メトセラの子、エノクの子、ヤレデの子、マハラレルの子、カイナンの子、
38 エノスの子、セツの子、アダムの子、このアダムは神の子。


第4章

1 イエスさまは、聖霊さまに満たされ、ヨルダンから帰った。そして、霊によって荒野へとみちびかれ、
2 40日間、悪魔によって試された(テストされた)。
そのあいだ、イエスさまは、なにも食べなかった。それが終わるころ、おなかがすいた。
3 悪魔は、イエスさまに言った。
「きみが神の子なら、この石に、『パンになれ』と命令してみてよ。」
4 イエスさまは答えた。
「『人は、パンだけで生きているわけじゃなく、ぜんぶ神さまのことばによって生きている。』
と(せいしょに)書いてあるよ。」
5 また、悪魔は、イエスさまを高い山につれて行って、いっきに、せかい中のぜんぶの国を見せて、
6 こう言った。
「この、ぜんぶの国のけん力とはんえいを、きみにあげるよ。
それはボクにまかされているから、ボクがあげたいと思う人にあげれるんだ。
7 だから、もしきみが、ボクを拝むなら、ぜんぶ、きみのものになるんだ。」
8 イエスさまは答えた。
「ひっこめ、サタン!『あなたの神さまである主を拝み、主にだけ仕えなさい。』と書いてあるよ。」
9 また、悪魔は、イエスさまをエルサレムにつれて行き、神殿のおくじょうに立たせて、こう言った。
「きみが神の子なら、ここからとびおりてみてよ。
10 だって、
『神は、み使いたちに命令して、あなたを守らせ、
11 あなたの足が、石にぶつからないように、み使いの手であなたをかかえる。』
って書いてあるでしょ?」
12 イエスさまは答えた。
「『あなたの神さまである主を、試す(テストする)ようなことをしちゃいけない。』
って(せいしょは)言っているよ。」
13 悪魔は、さんざん試しおわると、しばらくイエスさまのところからいなくなった。

14 イエスさまは、霊の力によって、ガリラヤにもどった。
そして、イエスさまのひょうばんが、そのまわりぜんぶに、ひろまった。
15 イエスさまは、彼らの礼拝所で教え、みんなからほめたたえられた。
16 それから、イエスさまは、自分が育ったナザレに来て、いつものとおり安息日に礼拝所に行って、(みんなの前で聖書を)朗読しようとして立った。
17 預言者イザヤの書がわたされたので、その書をひらくと、こう書いてあるところを見つけた。
18 「主の霊が、わたしの上にいる。
まずしい人たちに福音を伝えるように、主が、わたしに油をそそいだのだ。
主はわたしをつかわした。
それは、心がぼろぼろになっている人をいやし、とらわれている人を救い、
目が見えない人をなおし、いじめられている人を自由にし、
19 主のかんげいの年を、知らせるためだ。」
20 イエスさまは、書をとじると、係りにわたしてから、すわった。
すると、礼拝所にいるみんなの目が、イエスさまにあつまった。
21 イエスさまは、みんなに、こう話しはじめた。
「きみたちが聞いたとおり、この聖書のみことばは、今日そのとおりになった。」
22 イエスさまがそう言うのを見て、その口から出てきたありがたいことばに、みんなおどろいた。
それで、「この人は、ヨセフの息子じゃないの?」と、彼らは言った。
23 イエスさまは言った。
「きっと、あなたたちは、『お医者さんはまず自分をなおせ。』ということわざを使って、わたしにこう言うつもりでしょう?
『カペナウムであんたがやったと、うわさになっていることを、自分のふるさとのここでも同じようにやってみてよ。』」
24 それから、こう言った。
「たしかに、言っておこう。預言者はだれも、自分のふるさとではみとめられない。
25 わたしが話しているのは、本当のことだよ。
エリヤの時代に、3年6か月のあいだ、天がとじて、国中に大ききんがおきたとき、イスラエルには、夫を亡くした女の人がたくさんいたけれど、
26 エリヤが送られたのは、イスラエルのだれのところでもなく、
シドンの町サレプタにいた、夫を亡くした女の人のところだけだった。
27 それから、預言者エリシャのとき、イスラエルには、らい病の人がたくさんいたけれど、
シリヤ人ナアマンだけで、ほかはイスラエルのだれもきよめられなかったんだ。」
28 礼拝所にいた人たちはみんな、これを聞くと、とても怒って、
29 立ちあがり、イエスさまを町の外におし出して、町が立っている丘のがけっぷちへとやり、
イエスさまをまっさかさまに、なげ落とそうとした。
30 ところが、イエスさまは、彼らのまん中をとおりぬけて、自分の道をすすんでいった。

31 そして、イエスさまは、ガリラヤの町カペナウムへと、おりてきて、毎週、安息日に、人びとを教えた。
32 みんなは、イエスさまの教えにおどろいた。イエスさまのことばには、権威があったからだった。
33 すると、礼拝所には、けがれた悪霊につかれた人がいて、こう言って、大声でさけんだ。
34 「ほっといてくれ!ナザレ人のイエス、いったいオレたちに何をしようっていうんだ?
あんたはオレたちをやっつけに来たのか?オレはあんたが、だれか知ってるぜ!神の聖なる者だろ!」
35 イエスさまは彼をしかって、「しずまれ!その人から出て行け。」と言った。
すると、その悪霊は、その人をまん中にほうりなげて、出ていった。そして、ケガすることもなかった。
36 みんなはおどろいて、おたがいに、こう話した。
「これは、どういうことばなんだ?権威と力をもって命令したら、悪霊が出ていったぞ!」
37 こうしてイエスさまのうわさは、まわりのちいき全体に広まっていった。

38 イエスさまは礼拝所を出ていき、シモンの家にはいった。
すると、シモンの妻のお母さんが、ひどい熱になっていたので、彼女のことをイエスさまにおねがいした。
39 そこで、イエスさまは、そこに立って、熱をしかりつけた。
すると、熱がひき、すぐに彼女はおき上がって、イエスさまたちをせわした。
40 さて、日がくれると、いろいろな病気をもっている人たちがみんな、イエスさまのところにつれて来られたので、イエスさまは、ひとりひとりに手をおいて、いやした。
41 そして、悪霊たちも、「おまえは神の子キリストだな!」と大声でさけびながら、たくさんの人たちの中から出ていった。
イエスさまは、悪霊たちをしかって、話すことをゆるさなかった。
それは、悪霊たちは、「イエスさまがキリストだ」と知っていたからだった。
42 朝になると、イエスさまは、人がいないところへ出かけた。
すると、人びとは、イエスさまをさがして、イエスさまのところへ来て、イエスが自分たちからはなれて行かないように、いっしょにいた。
43 イエスさまは、みんなにこう言った。
「わたしは、ほかの町にも、神の国を伝えなくちゃいけないんだ。
そのために、わたしがつかわされたんだよ。」
44 そうして、ガリラヤのいろんな礼拝所で、教えていた。


第5章

1 みんなが、神のことばを聞こうと押しよせているとき、イエスさまは、ゲネサレ湖のほとりに立っていた。
2 湖に2そうの舟があるのが見えた。すでに、りょうしたちは、その舟からおりて、あみを洗っていた。
3 イエスさまは、そのうちの1つの、シモン(ペテロ)の舟にのって、きしから少しおしだすように、たのんだ。それから、イエスさまはすわって、舟からみんなに教えた。
4 話しがおわると、シモンに言った。
「ふかいところへ、出ていって、あみをおろして魚をとってみなさい。」
5 すると、シモンが答えた。
「先生。ぼくたちは、てつやで、はたらいたのに、なにもとれなかったんです。
だけど、あなたのことばのとおりに、あみをおろしてみますね。」
6 そして、そのとおりにしたら、ものすごくたくさんの魚がはいって、あみがやぶれそうになった。
7 そこで、ほかの舟にいたなかまたちに手をふって、助けに来てくれるように頼んだ。
なかまがやって来ると、どっちの舟もいっぱいになって、しずみはじめた。
8 シモン・ペテロは、これを見て、イエスさまの足もとにひれふして、言った。
「私からはなれてください。私は、罪ぶかい人間なんです。ああ、主よ。」
9 それは、シモンもいっしょにいたみんなも、とれたあみの魚に、びっくりしてしまったからだった。
10 シモンのなかまだったヤコブやヨハネ(ふたりはゼベダイのむすこ)も同じだった。
イエスさまは、シモンに言った。
「こわがらなくていいよ。これからは、きみは人間をとるようになるんだ。」
11 彼らは、舟をきしにつけると、ぜんぶをすてて、イエスさまについていった。

12 イエスさまがある町にいたとき、こんなことがあった。
そこには、なんと、体中が、らい病(ひふ病)の人がいた。
その人は、イエスさまを見て、どげざして、おねがいをした。
「主よ。もし、あなたがねがってくださるなら、あなたは私をきよくできます。」
13 すると、イエスさまは手をのばして、彼にさわると、こう言った。
「わたしのねがいだ。きみはきよくなりなさい。」
すると、たちまち、そのらい病がなくなった。
14 イエスさまは、彼にこう言いつけた。
「だれにも話しちゃいけないよ!
ただ、祭司のところに行って、自分を見せて、自分のきよめのそなえ物をしてね!
モーセが命じたとおりやるんだよ。
それは、みんなへの(病気がなおって、きよめられたっていう)しょうこになるからね。」
15 ところが、イエスさまのひょうばんは、どんどん広まっていった。
そして、ものすごくたくさんの人たちが、話を聞いたり、悪いところをなおしてもらったりしようと、あつまってきた。
16 そこで、イエスさまは、荒野に立ちのき、祈ったのだった。

17 ある日、イエスさまが教えていると、こんなことがあった。
ガリラヤやユダヤのあらゆる村や、エルサレムからやってきたパリサイ人と律法の先生(聖書はかせ)たちが、そばにすわっていた。
病気をいやすため、主の力があらわれていた。
18 すると、なんと、男の人たちが、マヒしている人を、ふとんにねたまま、はこんで来た。
その人たちは、「中にはこびこんで、イエスさまの前にねかせる方法はなにかないかなぁ」と考えた。
19 ところが、たくさんの人がいて、はこびこむ方法がどうしても思いつかなかったので、
やねにのぼって、かわらをはがし、そこから彼をふとんごと、イエスさまの前の、まんなかのところへ、つり下ろした。
20 イエスさまは彼らの信仰を見て、「きみ。きみの罪はゆるされたよ。」と言った。
21 すると、律法学者や、パリサイ人たちは、心の中でブツブツ言った。
「神さまをぼうとくするこの人は、いったいなんなんだ?だれが罪をゆるすことができるって?
神さまにしかできないだろ?」
22 イエスは、彼らの考えを見ぬいて、こう言った。
「心の中で、なにをブツブツ言っているんだ。
23 『きみの罪はゆるされた』と言うのと、『おきて歩きなさい』と言うのと、どっちがかんたんなことだと思う?
24 だけど、人の子には、地上で罪をゆるすけんいがあることを、きみたちにわからせよう。」
そう言って、マヒの人に、「きみに言う。おきて、ふとんをもって、家に帰りなさい。」と言った。
25 するとすぐさま、彼は、みんなの前で立ち上がって、ねていたふとんをもちあげて、神さまをたたえながら、自分の家に帰っていった。
26 みんなはおどろき、神さまをほめたたえたり、おそろしくなったりして、
「ぼくたちは、今日、すごいものを見たなぁ。」と言った。

27 そういうことがあったあと、イエスさまは出かけていき、
ぜいむしょにすわっているレビ(マタイ)というぜいきん取りを見かけて、言った。
「わたしについて来なさい。」
28 するとレビは、ぜんぶやめて、はりきって、イエスさまについていった。
29 そして、レビは自分の家で、ごうかなごちそうを出した。
そこには、ぜいきん取りのなかまや、ほかのなかまたちがいて、席についていた。
30 すると、その町の律法学者やパリサイ人たちが、イエスさまの弟子たちに、ブツブツとつぶやいた。
「どうして、あんたたちは、ぜいきん取りや罪人たちといっしょに食べたり、のんだりしているんだ?」
31 イエスさまは、彼らに答えた。
「けんこうな人にはお医者さんはいらないよ。でも、病気の人にはひつようなんだ。
32 わたしは正しい人をまねくために来たんじゃなくて、罪人を悔い改めさせるために来たんだよ。」
33 すると、彼らはイエスさまに言った。
「(バプテスマの)ヨハネの弟子たちは、よく断食したり、お祈りしたりしてるし、
それに、パリサイ人の弟子たちだって同じようにしてるでしょう?
それなのになんで、あんたの弟子たちは、食べたり、のんだりしてるんだ?」
34 イエスさまは、彼らに言った。
「花むこといっしょにいるときに、式のしょうたい客に断食させることが、できるかい?
35 でも、やがて、花むこが取りさられるときが来る。そのとき、彼らは断食するだろう。」
36 イエスさまは、もう1つのたとえを彼らに話した。
「ふるい服にあたらしい服のひときれを、ぬいつける人なんかだれもいないでしょう?
そんなことをしたら、あたらしい服はちぎれちゃうし、あたらしいのから取ってきたきれだって、ふるい服には合わないんだ。
37 それに、あたらしいぶどう酒(ワイン)をふるいかわぶくろに入れる人だって、だれもいないよ。
そんなことをしたら、あたらしいぶどう酒がそのふくろをはれつさせ、ぶどう酒がこぼれて、ふくろもだめになっちゃうんだ。
38 だから、あたらしいぶどう酒は、あたらしいかわぶくろに入れなきゃいけない。
そうすれば、どっちもだいじょうぶ。
39 ふるいぶどう酒をのんですぐに、あたらしいのをのみたがる人なんていない。
『ふるいものはいい。』って言うからね。」


第6章

1 第2安息日に、イエスさまがむぎ畑をとおっていると、こんなことがあった。
弟子たちは、むぎの穂をむしって、手でこすっては、食べていた。
2 すると、あるパリサイ人たちが、彼らに言った。
「どうして、あんたたちは、安息日に、しちゃいけないことをしてるんだ!」
3 イエスさまは、彼らに答えた。
「きみたちは、ダビデがしたことすら読んでいないのかい?
ダビデが、おなかがすき、いっしょにいた人たちと、なにをしたのか。
4 ダビデが、どのように神さまの家に入って、祭司いがいはだれも食べちゃいけないそなえもののパンをどのように取って食べて、いっしょにいた人にもどのようにあげたかってことさ。」
5 そして、彼らに言った。
「人の子は、安息日の主(あるじ)なんだよ。」

6 ほかの安息日に、イエスさまが礼拝所に入って教えていると、こんなことがあった。
そこには、右手がちぢんでいる人がいた。
7 律法学者やパリサイ人たちは、イエスさまが安息日に人をなおすかどうか、かんさつしていた。
そうして、イエスさまに言いがかりをつける理由をさがしていた。
8 でも、イエスさまには、彼らの考えがわかっていた。
そして、手のちぢんだ人に、「さあ立って、まん中に出てきてごらん。」と言った。
その人は、立ち上がって、前に立った。
9 イエスさまは、彼らに言った。
「きみたちに1つ聞こう。安息日に正しいのは、いいことをすること?それとも、悪いことをすること?
それから、いのちを救うこと?それとも、やっつけること?」
10 そうして、みんなのほうを見まわしてから、その人に、「手をのばしなさい。」と言った。
彼は、そのとおりにした。すると、彼の手は、ほかの手と同じように、けんこうにもどった。
11 彼らはいかりくるって、イエスさまをどうしてやろうか、とそうだんし合った。

12 そのころ、イエスさまは、祈るために山に行って、ひとばん中、神さまに祈りつづけたことがあった。
13 夜明けになって、弟子たちを自分のところへよんだ。
そして、その中から12人をえらび、使徒と名づけた。
14 ①シモン(ペテロと名づけられた)、②アンデレ(シモンの兄弟)、③ヤコブ、④ヨハネ、⑤ピリポ、⑥バルトロマイ、
15 ⑦マタイ(レビ)、⑧トマス、⑨ヤコブ(アルパヨのむすこ)、⑩シモン(ゼロテ派[熱心党])、
16 ⑪ユダ(ヤコブの兄弟)、⑫イスカリオテのユダ(うらぎりもの)。

17 イエスさまが、彼らといっしょにおりてきて、平らなところまで来た。
すると、弟子たちの集団や、ユダヤ中や、エルサレム、ツロやシドンの海べから、ものすごくたくさんの人たちが、そこにやって来た。
18 イエスさまの話を聞いたり、自分たちの病気をなおしてもらったりするためだった。
そして、けがれた霊になやんでいる人たちもいやされた。
19 みんなが、イエスさまにさわろうとしていた。
めぐみがイエスさまから出て、みんなをいやしていたからだった。
20 イエスさまは、弟子たちのほうへ目をあげ、こう言った。
「まずしい人はしあわせだ。神の国はきみたちのものだから。
21 いま、とぼしい人は、しあわせだ。やがて、満たされるから。
いま泣いている人は、しあわせだ。やがて、笑うようになるから。
22 人の子(を信じている)せいで、みんなから、きみたちがきらわれるとき、なかまはずれにされるとき、ひどいことを言われるとき、悪魔のように追いはらわれるとき、きみたちはしあわせだ。
23 その日には、よろこびなさい。とびはねて、よろこびなさい。
だって、天での、きみたちへのごほうびはすごいんだから。
みんなの先祖たちも、そうやって預言者たちに(ひどいことを)したんだ。
24 だけど、ゆたかな人たちは、かわいそうだ。すでに、なぐさめをうけてしまったから。
25 満たされている人たちは、かわいそうだ。やがて、とぼしくなるから。
いま笑っている人たちは、かわいそうだ。やがて、かなしみ、泣くようになるから。
26 みんなからほめられる人は、かわいそうだ。みんなの先祖たちは、そうやって、にせ預言者たちをほめたから。
27 だけど、いま聞いているきみたちに、わたしはこう言おう。
あなたの敵を愛し(たいせつにし)なさい。あなたをきらう人たちに、よいことをしてあげなさい。
28 きみたちをのろう人たちを、祝福しなさい。きみたちをいじめる人のために、祈りなさい。
29 きみたちの、片方のほっぺをたたく人がいたら、ほかのほっぺも(たたけるように)向けてあげなさい。コートを取る人がいたら、うわぎも取られるままにしなさい。
30 求めてくる人みんなに、あたえなさい。取った人から、取りかえそうしないように。
31 自分がしてほしいのとおなじように、ほかの人にしてあげなさい。
32 自分をたいせつに(愛)してくれる人をたいせつにしたって、どこがりっぱなんだい?
だって、悪い人たちだって、自分をたいせつにしてくれる人にはたいせつにしているんだよ。
33 自分をよくしてくれる人によくしてあげたって、どこがりっぱなんだい?
だって、そんなことは、悪い人たちだってやっているんだよ。
34 あとで返してもらおうと思って、人に貸してあげたって、どこがりっぱなんだい?
だって、あとでたっぷりとお返ししてもらおうと思っているなら、悪い人たちだって、そうやって人に貸しているんだよ。
35 そうじゃなくて、自分の敵を愛し(たいせつにし)なさい。
自分の敵によくしてあげたり、お返しなんてきたいしないで貸してあげなさい。
そうすれば、きみたちのごほうびは、すばらいいものになるだろう。それに、きみたちは、いちばんえらいおかた(神さま)の子どもになれるんだ。
なぜって? いちばんえらいおかた(神さま)は、かんしゃしない人にも、悪い人にも、しんせつだからだよ。
36 だからね、きみたちの天のお父さまが思いやり深いように、きみたちも思いやり深くしなさい。
37 さばいちゃ(きめつけちゃ)いけないよ。そうすれば、きみもさばかれないだろう。
『きみが悪い!』と人に言っちゃいけないよ。そうすれば、きみも『きみが悪い!』といわれなくてすむ。
ゆるしなさい。そうすれば、きみもゆるされる。
38 あたえなさい。そうすれば、きみもあたえられる。
そうすれば、みんな、きみに、オマケしてくれたり、むりやりくれたり、ぎっちりつめて、あふれるくらいに、ポケットに入れてくれるだろう。
きみたちが、人によくしてあげたぶんだけ、きみたちも、よくしてもらえるってことさ。」

39 イエスさまは、もう1つのたとえを話した。
「目の見えない人に、目の見えない人のあんないができるかい?
ふたりとも、穴に落っこちちゃわないかい?
40 弟子は、先生をこえられない。
でも、ちゃんとした弟子たちはみんな、自分の先生のように、なれるんだ。
41 きみたちは、どうして、兄弟の目の中のほこり(小さなけってん)が見えるのに、
自分の目の中の大きなぼう(大きなけってん)には、気づかないんだい?
42 自分の目の中には大きなぼう(大きなけってん)があるのに、兄弟に、
『兄弟よ。きみの目の中のほこり(小さなけってん)を取ってあげるよ。』
と、どうして言えるんだい?
きみたちは、いいかっこしい(ぎぜんしゃ)だ。
まず自分の目から大きなぼう(大きなけってん)を取りのぞきなさい。そうすればようやく、兄弟の目のちりがはっきりと見えて、取ってあげられるはずだよ。
43 いい木は、悪い実をならせないし、悪い木が、いい実をならせることもない。
44 どんな木でも、その実を見たらわかる。
いばらからいちじくは取れないし、野ばらからぶどうは取れない。
45 いい人は、その心のよいたくわえの中から、いいものを出し、悪い人は、その心の悪いたくわえの中から悪いものを出す。人の口は、心にたまっているものを話すからね。
46 わたしを『主よ、主よ。』と呼んでいるのに、どうして、わたしの言うことをやらないの?
47 わたしのところに来て、わたしのことばを聞いて、それをおこなう人たちが、
どんな人に、にているか、きみたちに教えてあげよう。
48 まるで、じめんを深くほって、岩(みことば)の上に土台(信念)をおき、そうやって家をたてた人、みたいだ。
こう水になって、水が家にはげしくうちよせたって、びくともしない。
岩(みことば)の上にたてられているからね。
49 でも、聞いてもやらない人は、まるで、土台(信念)なしに、じめんに家をたてた人、みたいだ。
水がはげしくうちよせると、すぐに家はたおれてしまう。そして、そのこわれかたは、ひどいんだ。」


第7章

1 さて、イエスさまは、聞いていた人たちに、ぜんぶ話しおわると、カペナウムの町へと入っていった。
2 すると、ある百人隊長にかわいがられているしもべ(けらい)が、病気で死にそうだった。
3 百人隊長は、イエスさまのことを聞き、イエスさまのところにユダヤの長老たちを使いに出して、
けらいをいやしに来てくれるようにたのんだ。
4 長老たちは、イエスさまのところに来ると、いっしょうけんめいに、たのみこんだ。
「彼は、あなたにそうしてもらうに、ふさわしい人なのです。
5 彼は、私たちの国民たちをたいせつにし、私たちのために礼拝堂をたててくれたんですから。」
6 そこで、イエスさまは、彼らといっしょに行った。
すると、その家から、もうあまりとおくないところに来たとき、百人隊長は友人たちを使いに出して、イエスにこう伝えた。
「主よ。めんどうなことはなさらないでください。
私は、あなたさまを自分の家のやねの下に入れるほどの、そんなしかくはありません。
7 ですから、私じしんがあなたのところへ行けるような、そんなしかく、だってないのです。
ただ、ことばを言ってもらえれば、私のけらいは、いやされます。
8 というのは、私もけんいの下に仕えているし、私の下にも兵士たちがいるのです。
私が、その兵士のひとりに『行きなさい。』と言えば行くし、ほかの兵士に『来なさい。』と言えば来るのです。けらいに『これをしなさい。』と言えば、そうします。」
9 これを聞いて、イエスさまはおどろき、ついて来ていた人たちのほうに、ふりむいてこう言った。
「きみたちに言っておこう。こんなすばらしい信仰は、イスラエルの中で見たことがない。」
10 使いの人たちが家に帰ると、病気だったけらいは、けんこうになっていた。

11 それからのこと、イエスさまが、ナインという町に行ったとき、こんなことがあった。たくさんの弟子たちと、たくさんの人びとが、いっしょだった。
12 さて、イエスさまが、町の門に近づくと、なんと、あるお母さんのひとりむすこが、死んでしまって、はこばれていくところだった。そのお母さんは、夫も亡くしていた。
その町のたくさんの人たちが、そのお母さんにつきそっていた。
13 主は、そのお母さんを見て、おなじいたみを感じ、「泣かなくていいよ。」と言った。
14 そして、近よって、かんおけにさわった。すると、かついでいた人たちが立ち止まった。
イエスさまは、「青年よ、きみに言う。おきなさい。」と言った。
15 すると、その死んだ人がおき上がって、しゃべりはじめた。
イエスさまは、そのお母さんに、彼をわたしてあげた。
16 みんなは、おそろしさを感じ、
「いだいな預言者が、私たちの中から出てきたぞ!」
「神さまが、神の民のところへ来てくださったぞ!」
と、神をほめたたえた。
17 イエスさまのうわさは、ユダヤ中と、そのまわりのちいき全体に広まった。

18 さて、(バプテスマの)ヨハネの弟子たちは、こうしたできことをぜんぶ、ヨハネにつたえた。
19 すると、ヨハネは、弟子たちの中から2人をよんで、イエスさまのところに使いに出し、
「来る(と預言されている)かたは、あなたですか?それとも、ほかの人をさがしたほうがいいですか?」
と言わせた。
20 その人たちは、イエスさまのところに来て、こう言った。
「私たちは、バプテスマのヨハネからの使いで、あなたのところに来ました。
『来る(と預言されている)かたは、あなたですか?それとも、ほかの人をさがしたほうがいいですか?』
と、ヨハネが言っています。」
21 ちょうどそのとき、イエスさまは、たくさんの人たちを、悪いところや、やまい、悪霊から、いやしていた。そして、たくさんの目の見えない人を、見えるようにしていた。
22 そのとき、イエスさまは、こう答えた。
「きみたちは、自分が見たことや、聞いたことを、ヨハネに伝えに行くといい。
どのように、目の見えない人が見えるようになったか。
どのように、足の悪い人が歩けるようになったか。
どのように、らい病人がきよめられたり、耳が聞こえない人が聞こるようになったり、死んだ人が生きかえったり、まずしい人たちによい知らせ(福音)が伝えられたり、しているのか。
23 わたしを、うたがいをもたない人たちは、しあわせだ。」

24 ヨハネの使いが帰っていくと、イエスさまはみんなに、(バプテスマの)ヨハネのことを話しはじめた。
「きみたちは、なにを見たくて、荒野へ(バプテスマのヨハネに会いに)行ったんだい?風でなびくアシ(ふにゃふにゃの植物)かい?
25 じゃあ、なにを見に行ったんだい?やわらかい(ごうかな)服を着た人かい?
それなら見てごらん。ごうかな服を着て、ゆうがなくらしをしている人たちなら、王宮にいるでしょう?
26 そうじゃないなら、なにを見に行ったんだい? 預言者かい?
ああ、そうさ。言っておくけど、預言者よりもすごい人なんだ。
27 彼(ヨハネ)こそが、
『さあ、わたしはあなたの目の前に使いを送って、あなたの前に、あなたの道をととのえさせる。』
と書かれている(預言されている)人なんだ。
28 言っておくけど、女の人から生まれた人で、ヨハネよりもすごい預言者は、ひとりもいないよ。
でも、神さまの国でいちばん下の人だって、彼より、りっぱなんだ。
29 ヨハネの話を聞いた人たちはみんな、ぜいきん取りたちだって、神さまが正しいことをみとめて、ヨハネのバプテスマをうけたんだ。
30 それなのに、パリサイ人や律法学者たちは、自分たちへの、神さまのアドバイスをきかないで、ヨハネのバプテスマをうけなかった。」
31 つづけて、主は言った。
「それでは、この時代の人たちは、なにに、たとえられるだろう? なにに、にているだろう?
32 まるで、ひろばにすわって、おたがいに、こう言い合っている子どもたち、みたいだね。
『ぼくたちが、きみたちのために、ふえをふいてあげても、きみたちはおどらないね。』
『ぼくたちが、きみたちのために、かなしんであげたって、きみたちは泣かないね。』
33 だって、バプテスマのヨハネがやって来て、パンも食べないし、ぶどう酒も飲まないと、
きみたちは『あいつは、悪霊につかれているんだ!』と言うし、
34 人の子がやって来て、食べたり、飲んだりしていると、
『見てみろ。食いしんぼうで、おおざけのみ。ぜいきん取りや罪人たちのなかまだ!』と言うんだから。
35 でも、その子どもたち(弟子たち)みんなを見れば、その知恵が正しいか、わかるんだ。」

36 さて、ひとりのパリサイ人が、イエスさまといっしょに食事をしたい、と言うので、イエスさまは、そのパリサイ人の家に行って、食卓についた。
37 なんと、その町には、ひとりの罪深い女の人がいた。彼女は、イエスさまがパリサイ人の家で食卓についていることを知ると、香油の入っているせっこうのつぼをもって来た。
38 そして、イエスさまの足もとのうしろがわに立って、泣きながら、なみだで足を洗いはじめ、かみの毛でふき、足にキスをして、香油をぬった。
39 イエスさまをまねいたパリサイ人は、それを見て、心でこうつぶやいた。
「この人が、もし預言者だったら、自分にさわっているのが、だれで、どんな女の人なのかわかるはずだ。この女の人は、罪人なんだから。」
40 イエスさまは、彼に「シモンさん。きみに言いたいことがある。」と言った。
シモンは、「先生。話してください。」と言った。
41 「ふたりの人に、お金を貸している人がいた。ひとりは500万円(デナリ)、もうひとりは50万円(デナリ)借りていた。
42 ふたりが返せなかったとき、貸した人は、ふたりを、すっかりゆるしてあげた。
それでは、貸した人をたくさん愛するようになるのは、どっちの人でしょうか?」
43 シモンは答えた。
「たくさんゆるしてもらった人だと思います。」
イエスさまは、彼に言った。
「きみは正しくはんだんしたね。」
44 そして、その女の人のほうにふりむき、シモンに言った。
「きみは、この女の人を見たかい?わたしが、きみの家に来たとき、きみは足を洗う水をくれなかった。
でも、この女の人は、なみだでわたしの足を洗い、かみの毛でふいてくれた。
45 きみは、わたしに、(あいさつの)キスもしなかった。
でも、この女の人は、わたしが入って来たときから、足にキスするのをやめない。
46 きみは、わたしの頭に、油をぬってくれなかった。
でも、この女の人は、わたしの足に香油をぬってくれたんだ。
47 だからこそ、わたしは、きみに言っておく。
たくさんある、この女の人の罪は、ゆるされている。なぜなら、彼女はたくさん愛しているからだ。
ところが、少ししかゆるされていない人は、少ししか愛さないんだ。」
48 それから、イエスさまは、女の人にこう言った。
「きみの罪は、ゆるされているよ。」
49 すると、いっしょに食卓にいた人たちは、心の中でこうつぶやきはじめた。
「罪さえもゆるす、この人は、いったいなにものなんだ?」
50 そして、イエスさまは、女の人に言った。
「あなたの信仰が、あなたを救ったんだよ。安心していなさい。」









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